真野倫太郎 "Somos lo maximo" のホムページ
みなさんこんにちは、真野倫太郎です。
マノリン・エルメディコデラサルサの演奏は、本当に優秀な演奏家の手で行われていて、どこのパートも大変難しいです。
はっきり言って、聞き込めば聞き込むほどに、理論説明がつかなくなることが多くあります。
これから何回か、マノリン・エルメディコデラサルサの曲の複雑さと、音に込められた意味や思いを分析していこうと思います。
まずは軽めのテーマで、理論説明のつくものから行きましょう。メディコ流のピアノのパターンを軽くかじってみましょう。
メディコの鍵盤部隊は、ファーストアルバヌのuna aventura locaのころは3人もいたらしく、
・ルイス・ブ・パスカル(愛称:ルイスブ)
・イベッテ・ポラス・ショトルス
・エドゥアルド・ナポレス(愛称:チャカ)
となっています。
このころはまだ、キーボード(シンセ?)の出す、いろいろな音色をカラフルにちりばめたようなイメージがあります。
このようなサウンドは、当時流行っていたエネヘ・ラ・バンダやチャランガ・アバネラ(旧チャランガ)なども用いているので、当時の流行を取り入れたものと思われます。
つぎに、セカンドアルバヌのpara mi genteのときも3人いたらしいですが、メンバーが変わっています。
・ルイス・ブ・パスカル(愛称:ルイスブ)
・ダゴベルト・ゴンサーレス・エルナンデス
・エドゥアルド・ナポレス(愛称:チャカ)
おそらく、ダゴベルトさんはマノリンさんの親族かなんかだと思われます。
このころのサウンドは、ピアノでトゥンバオを弾いている上からクラビネットでさらに別のトゥンバオを重ねたりしていまして、ファーストアルバヌのときとはまた違ったキーボード部隊の動きになっています。
サードアルバヌのde buena feのときも、メンバーはpara mi genteのころと同じです。しかし、またまたサウンドが進化しています。
1曲目のsomos lo que hayでのシンセサウンドは強烈で、マノリン=somos lo que hay(スターウォーズのテーマ)という図式が出来上がってしまいました。
このころになると、3人構成ではあるものの、実際にはストリングスなどはおそらく生音を使っており、実質的にはほとんどルイスブとチャカの二人で弾いているのではないか?という疑惑があります。
このアルバヌから、ピアノサウンドがずっしりと重くなり、そのせいか、セカンドアルバヌで見られたようなピアノ&クラビの組み合わせは見られなくなっています。どちらかというと、ピアノ&シンセ(オブリガートを弾く)という構成になっています。この後何年かすると、オブリガートはシンセのほかにギターも加わり、すさまじいことになります。このへんのサウンドはライブアルバヌのel puenteで聞いてみてください。
フォースアルバヌのjaque mateのクレジットは謎なのですが、おそらくルイスブとチャカの二人で演奏していると思われます。
ちなみに、チャカがピアノでルイスブがシンセのもようです。ダゴベルトさんはディレクターに廻ったものと思われます。
このアルバヌでチャカ奏法が確立したといえます。
わたしがとても衝撃をうけたピアノの弾き方です。はじめて聞いたときは意味不明でした。
ここで、わたしが衝撃を受けた「チャカ奏法」について分析してみます。
たとえば、サルサピアノの教則本によくありがちな、F6の和音のトゥンバヲを弾くとすると、一般的には下の譜例にある「ふつう」の弾き方をすると思います。
しかし、これが「チャカ奏法」の場合、間の音をすべて8分音符で埋め尽くしてしまい、下の譜例の「メディコ」のようになると思われます。いきなりチャカ奏法の譜例を見ると混乱しやすいので、「ふつう」のパターンと音が重なるところを赤で書いて見ました。

このように、8分音符だらけの状態になると、ピアノサウンドは強烈に重くなり、この譜例を使いこなすチャカさんは誰も真似できないとんでもないグルーブを生み出してしまいました。
最近でこそ、このパターンを使う人は他にもいますが、チャカさんほど強烈にうねるグルーブを出す人はいないと思います。まったく恐ろしいピアノ奏法です。
ライブアルバヌのel puenteではチャカ&ルイスブの最強コンビでステーヂをこなしています。jaque mateで確立されたチャカ奏法とルイスブのシンセの絡みがライブでいかんなく発揮されていています。さらに、ギターのオブリガートやワウとカッチングが加わり、まさに最強のライブアルバヌとなってしまいました。いうまでもなく、ベースとドラヌもとんでもないことをしています。
なんとなく、ダンスクラシックの影響を受けているように思え、ロイクな感じがより一層濃くなっていますね。
ちなみにその後のマノリンエルメディコデラサルサですが、チャカさんが辞めてしまったそうです。
これは大変ショックですが、悲観することはありません。後釜には「メロン・ゴンサーレス」という、これまた強烈なピアニスタが入っています。
メロンサウンドがマノリン・エルメディコデラサルサのなかでどう炸裂するのか?これについては欧米へライブを見に行くか、新作のアルバヌがでることを期待しましょう。すでに楽しみでしょうがありません。